美少年の墓
京都に美少年の墓があります。

京都洛西の金蔵寺近くに、一度に必ず一つのお願いを必ずかなえてくれると言う一願不動明王がまつられている不動堂があります。

その横に、「美少年の墓  梅若丸 律師桂海」と記された小さな宝篋印塔があります。

それが美少年の墓です。

これは、室町時代初期の僧侶と稚児との愛を主題とした物語の「秋夜長物語」で登場する美少年梅若と僧侶律師桂海の供養塔になります。

二つの石塔の片方が「梅若丸」のお墓で、もう片方が「律師桂海」の墓になります。

この二つのお墓には悲しい物語が伝えられていました。

比叡山・延暦寺の僧であった桂海は三井寺に立ち寄ったおりに、美しい少年の梅若丸と知り合い、お互いに惹かれあって結ばれてしまいました。

やがて、桂海は心ならずも延暦寺に帰っていきましたが、残された梅若丸は桂海の事が忘れられずに、三井寺を抜け出して延暦寺に向かったのですが、途中で山伏に捕まってさらわれてしまいました。

三井寺では美童の梅若丸が行方不明になっているので騒動になり、これは延暦寺の桂海の所為ではとなって延暦寺に攻め込んで争いとなってしまったのです。

何とか山伏から抜け出した梅若丸は自分のせいで争いになってしまった事を知り、心を痛めて琵琶湖の瀬田の唐橋から身を投げて亡くなってしまいました。

一方、梅若丸の死を知った桂海も大きなショックを受けて、梅若丸の遺骨を引き取ると、それを首からかけて山野をさまよい、やがて京都の金蔵寺にたどり着くと後に金蔵寺の住職にまでなりました。

金蔵寺の近くに梅若丸の墓を作ると130歳で亡くなるまで墓を守り続けたそうです。

昔は僧籍や武将での男性同士の愛情と言うのも割りと多かったですね、有名な武将でも男性同士の話も多いです。

お寺や戦場では女性は入れないから、どうしても男性同士と言うのもあったみたいです。

悲恋に終わったお話ですが、今は仲良く二人のお墓が並んでいます。