壺霊
内田康夫さんの「壺霊」(角川文庫)を読了した。

内田さんと言えば浅見光彦シリーズが大人気でテレビドラマなどにもなっているが、この壺霊も浅見光彦が活躍する物語である。

今回の壺霊は京都が舞台で、しかも浅見が京都の町家に滞在して事件を解決するのであるが、出てくる場所が京都の有名観光地ではなくて私が好きな場所ばかりなのが凄く良い。

浅見の住む町家が冨小路松原付近だし、度々訪れる家が八坂の塔付近だったり、他にも安井金比羅宮とか大将軍八神社とか嵯峨野の化野念仏寺とか首塚大明神が舞台になったり、さらに紫式部墓所・清水茶碗坂・六道珍皇寺・幽霊飴・高島屋などなども登場する。

また亀岡も重要なポイントだったりし、保津川下りの場面も出てきたりと、私のよく行く場所やお気に入りポイント満載なのである。


京都の高島屋のレストラン街の取材を依頼された浅見光彦は、兄の陽一郎からも京都の知り合いからの調査依頼を言付かる事になる。

京都に着いた光彦は依頼人の所有の町家に滞在してレストラン街の取材とともに、行方不明となっている女性の行方と紫式部と名付けられた高麗青磁の壺の行方の探索を行う事になるのである。

行方不明の女性の手掛かりは、残されていた安井金比羅宮の縁切り碑に貼られていたと思われる形代だけであった・・・


もともとは京都新聞に連載されていた小説で、それに加筆・修正された物を書籍化された物らしいが、京都の小林由枝さんのイラストが随所に掲載されて、巻末には物語の場面となった箇所のイラストや案内が収録されてるのも凄く良いね。

浅見ファンはもちろん、京都好きの人にもお勧めの本である。