雨ふり止まず



黒い雲の隙間から太陽が薄っすら見えた時、
明るくなったわ、晴れそうで嬉しい。

そう思った1時間後にはぽつぽつ雨が降り出す。
今週は最高気温が20℃に届かぬ日もあった。

雨が小降りになったら足早に買物に行く。
店内は冷房が効きすぎて寒ささえ感じた。

「家はお鍋にします。」そんなお客様に
定員さんはカーディガンを着て「梅雨でも寒い感じね。」

そんな会話を耳にして私は思わず微笑む。
自分も淡ピンクの繊維シャツの長袖にジーパン。

無花果畑の光景が見たくて農家の前を通り、
真っ青な無花果に近寄れば青臭い香りが漂う。

大好きな無花果を梅雨明けしたらいっぱい食べたいわ。
子供のように軽い足取りで川沿いを少し歩いた。

川辺の近くには水田が有り、真っ直ぐに並ぶ青い苗、
大きく伸びて、風にそよそよ揺れていた。

少し水嵩を増した川はざぶざぶと海へ流れ、
時折、黒いお魚が見え隠れして私は目で追う。

人には人の世界が有るように、
お魚にはお魚達の世界がある。

意地悪な生物と弱い生物、どこの世界も同じ。
鳥達も大きなカラスは小さな小鳥達を苛める。

せめて人間だけは、弱者を苛めたり、
人の心を傷つけないで生きてゆきたい。

雨が止んだ時を見計らい近隣市のアパートに主人と行き、
駐車場のレンガ並べを少し手伝う。

帰りに七夕飾りの町を見て、今日は七夕と再認識する。
幼い頃は夢中で七夕飾りを父に教えて貰い、喜んでいた。

再び、雨がぽつぽつと降り出し、
窓から手を出せばぽつんと雨粒が掌から弾けて落ちた。
あゝまた雨だわ。