すきま風 
4~5日の間は風もない穏やかな日中だった。
昼下がりから少し風が出て冬型の気圧配置になり、

寒気の影響で晴れたり曇ったりと肌寒くなってきた。
それでも暖房をつければ暑くて直ぐに消してしまう。

午前中は外出し、午後帰宅すれば亡き奥様の妹さんから
留守電が入り「お婆ちゃんがお墓参りに行きたいそうです。」
孫で有る次女にかけてきた。

亡き奥様に関係のある家族が誰も居ないため、
私は、次女も主人も旅行で不在とお返事の電話をかけた。

するとお爺ちゃんが出て用件を聞いていた傍で
多弁なお婆ちゃんが「すぐにかけ直す。」と次女と間違え、
話声が聞こえた。

後で私の電話と判ればかけ直す事等しない。
「電話はかけるな。」主人に注意された事があるほど
過去に冷たくされた事が有った。

亡き奥様のお母様が(お婆ちゃん)来れば、私は誰よりも気遣いし、
ありのままの私を判って貰いたいと焦ってしまう。

亡くなった娘が可愛くて会いたい気持ちは十分判っている。
近い内にどうぞ、奥様に会いに来て下さいと言いたい。

しかし、用件のお返事意外にもう電話はできない。
血のつながらぬ私には遠い人だから。

夜になると冷たい「すきま風」が玄関から入ってくる。