赤い月
夜空に、まるでモミジが紅葉したように赤い月を珍しく思いながら見ていた。
大きくて月の中に様々な形が見られ、不思議な月だと思いながら

家路に急いだ。寝不足で近所の友人宅に行ったのが関の山だった。
桜並木を通った時、黒い葉が頭上でさらさらと風音を立てて

夏日の汗ばんだ身体に心地よく吹いていた。
三時間の睡眠では、彼女に豚汁(豚肉、牛蒡、人参、さつま芋、大根じゃが芋蒟蒻等)

秋刀魚を焼き、洗濯二回、お布団干し程度の家事で精一杯だった。
結婚相手を探す気もなく、一生この家に住み続けるのかと思う程、

彼女は、何処にも外出せず、休日は殆ど眠っているだけの生活を見ても、
親ではないので何も言えない。

主人は、「お前も好きな所に自由に遊びに行き、娘は放っておけ!」と言っていた。
彼は、自分奔放な性格で、近寄れば疲れるので少し離れている方が楽でいい。

「××さん、今夜は、深夜勤です、準夜勤ですが宜しく!」と彼女に
言われて、私だけ、自由に遊びに行ったり、勝手な事ができる筈がない。

慣れという事は、恐いもので、彼が居なければ居なくても、慣れてしまい、
居ない方が楽だわと思ってしまう。

赤い月を見ながら、私も明日から頑張ろうという気持がわいてくる。



 
夜空に、まるでモミジが紅葉したように赤い月を珍しく見ていた。
大きくて月の中に様々な形が見られ、不思議な月だと思いながら

家路に急いだ。寝不足で近所の友人宅に行ったのが関の山だった。
桜並木を通った時、黒い葉が頭上でさらさらと風音を立てて

夏日の汗ばんだ身体に心地よく吹いていた。
三時間の睡眠では、彼女に豚汁(豚肉、牛蒡、人参、さつま芋、大根じゃが芋蒟蒻等)

秋刀魚を焼き、洗濯二回、お布団干し程度の家事で精一杯だった。
結婚相手を探す気もなく、一生この家に住み続けるのかと思う程、

彼女は、何処にも外出せず、休日は殆ど眠っているだけの生活を見ても、
親ではないので何も言えない。

主人は、「お前も好きな所に自由に遊びに行き、娘は放っておけ!」と言っていた。
彼は、自分奔放な性格で、近寄れば疲れるので少し離れている方が楽でいい。

「××さん、今夜は、深夜勤です、準夜勤ですが宜しく!」と彼女に
言われて、私だけ、自由に遊びに行ったり、勝手な事ができる筈がない。

慣れという事は、恐いもので、彼が居なければ居なくても、慣れてしまい、
居ない方が楽だわと思ってしまう。

赤い月を見ながら、私も明日から頑張ろうという気持がわいてくる。