水の音 Vol.2 02.11.06
 仕事を終えると、まっすぐに渋谷に向かいました。
 PM6:30、今日のライブイベントの会場であるON AIR EASTの前には平日にしては比較的多い人数が集まっていました。心なしか、私が普段参加しているイベントよりは参加者の年齢が高いように見えるのは、会社帰りと思しい方が多いからでしょう。女性の姿を多く見かけるのも一因かもしれません。
 開場時間を迎えて場内に入ると、荷物をコインロッカーに預けて身ひとつの私を嘲るように、イスが並べられていました。
 かなり早い整理番号で入場となったため、座席はセンターブロック端とはいえ、最前列に座ることができました。開演を待つ間、ひとりという身は心細く、とりあえずドリンクチケットでアルコールを摂って時を過ごしていました。

水の音 Vol.2 at ON AIR EAST
 オープニングアクトを飾ったのは、戸田和雅子。イスに腰掛けて、ギター1本で4曲を歌い上げました。
 曲も、名前すらも初めて聞く、その少し幼く見える女性の歌は、じんわりと心に沁みました。オープニングアクトで、これだけの説得力を持っているのですから、ライブ全体への期待も高まります。

 続く2番手に、私の本日の目当てである宮原永海の登場です。
 今回、これまでに目にした2回のステージと大きく異なっていたのは、バックにバンドを背負っていたことでした。ピアノの音色に合わせてしっとりと歌う姿しか見たことがなかったので、ちょっと驚きましたが、ピアノ(キーボード)にドラム・ギターにベースとオーソドックスではありますが、フル編成です。この中でどれだけのものを見せてくれるのかは、楽しみでした。
 来年早々に発売されるというデビューミニアルバム「REASON」からタイトルチューンなども含めて、全部で5曲が披露されました。
 歌を歌う姿はこれまで通り、あるいはこれまでよりも生き生きと輝いて見えました。ステージに登場したときの顔は、いつ見ても決してキレイだとか、カワイイだとか感じないのですが、歌っているときの表情は実に魅力的です。
 ステージ内容については、今回は少し残念なカンジがしました。私見ではありますが、宮原永海のボーカルはやわらかく、どちらかといえば細い印象があります。しかしながら、その声質はホールなどではなく、手狭なくらいのライブスペースにあっては包みこむような雰囲気を醸して、とても心地よく響くのです。
 しかし、今回はバックについたバンドの音がエッジの効いたものだったため、宮原永海のボーカルに刺さって、ともすれば翳めてしまうような気がしました。彼女の声にはアコースティックサウンドが似合う。そう確信してしまいました。明日以降、年内に2回ステージイベントに立つということなので、どちらかには参加して、あの穏やかな空気を味わいたいと思いました。

 3番手の柴草玲はキーボードで弾き語るアーティストで、全体に気だるいカンジの空気を纏っていました。声のカンジはどことなく鬼束ちひろに似ていましたが、トークの内容も詩も歌も独特でしたが、“自分で作った曲を自分で歌う”という行為が持つ説得力を感じました。

 そして、トリを飾ったのがKOKIAという耳慣れない名前のアーティストでした。
 しかし、その歌を1曲聞いただけで、かなり久しぶりに歌に感動しました。うまい。というのならばそれは正解ですし、正鵠を射ているともいえます。感動したのは、そういうテクニック的な部分ではなく、歌う姿勢であったり、確かに伝わってくる熱情であったりと、スピリチュアルなモノが噴出していて、それを感じとれてしまうからであったと思います。今夜最後のアーティストということもあって、ほかの方よりも長い演奏時間があり、その間はまさに夢心地といった気分でした。
 
 最後の曲が終わり、KOKIAがステージを去るとほどなく客電が上がり、ライブは終了。幕間に妙にビッシリと感想を書いた宮原永海のアンケートを提出して外に出たところ、測ったようにMさんが携帯を鳴らしました。
 Mさんと合流して、渋谷の別のライブイベントに参加しているDさんを待って合流。Dさんの出待ち(笑)はPM10:30近くまでかかりました。
 もうほとんどの店が閉まっているか、今にも閉まるという時間だったので、ファーストキッチンで軽く食事をして、PM11:30頃に別れました。ちなみに話の内容はいつも通りです。そんなに肩に力入れなくても…。と思うのですが、それに合わせてしまうのがいけないのかもしれませんね(苦笑)。