ジャノメソウ
ムク犬のGちゃんの四十九日が近くなって、
おばあちゃんは、お墓にお骨を納めるかどうか、
迷っていた。
庭の花を持参してお線香をあげに行った。

気持ちはよく解かる。
お骨があるだけで、まだそこに在ると言う実感がある。
いつまでも、置いておけば気持ちの切り替えができない・と言うのも真実だから。
おばあちゃんは、そんなことは初めからわかっている。

小さな茶碗に、ご飯とビスケットが供えてあった。

おとといは、母の命日だったので、お墓参りに行った。
アルストロメリアが今年も増えてたくさん咲きそうだった。
ジャノメソウも風に揺れて可愛い。
カンパネラと、ナデシコと矢車草も添えてお墓に持参する。
母の湯のみには、天からのもらい水ね。
私は缶コーヒーを飲みながら、お墓の前で「何も告げる事はないわ」と心の中で呟いた。

夕方、先生から電話があった。
気持ちが昂ぶって涙が出た。
先生は、「もう私は引退したのよ。いつまでも拘っていてはかえってよくないのよ」と仰る。

私はまだ何も解からないのに、辛かった。