☆藍の空
夕暮れ、外に出ることが殆どなくなった。

まだ仕事が残っていたので、
ちょっと夜風に吹かれに外に出て、
気分転換に庭を一回りしてきた。

ニオイバンマツリと、野茨が咲きだした。
きっと、今夜あたり、窓を開けたら香りが漂って来るかもしれない。
モッコウ薔薇は、汚れて散って終わり、ピンクのスイトピーが咲き出していた。

藍色の空が好きで、太郎といつまでもどこまでも歩いて行けそうな気がしていた。

太郎は、さっきから私の動きをずーつと目で追っている。
この頃、私が日中は不在なことが多いからだろうか。

いつもなら、もうすっかりお腹もいっぱいになって、静かに寝ている時間なのだが、
私が動く度に、私の方に首を回して見つめている。

太郎が寝たら、仕事の続きをしようと思うのだが・。

そんな太郎の気持ちを振り切って、
夏号の原稿書きをしていた。

「○○便り」も書かなければいけない。
これは神経を使う。
自分の事ならいいけれど、人様の作品だからだ。

夏の「草木花の歳時記」も私の担当だ。


紫陽花にしようかと、紫陽花に関するお話を探していたら、
朔太郎の詩を見つけた。

こころをば、なににたとへん、こころはあじさゐの花
もも色に咲く日はあれど、薄紫の思ひ出ばかりは、
せんなくて

やるべき事が、たくさんあるのはいいことだね。