「在りし日②」
<<日本>>--自宅付近--


この写真は39年前の正月に、私が撮影した家族の記念写真である。

在りし日の記念にと思い、探し出したアルバムの中の一枚をスキャンした物だから、画像は綺麗ではない。

向かって左の4人が弟の家族、母を中心に向かって右の4人が私の家族である。

すっかり憔悴してしまった弟の女房を、この時まだ1才だった弟の長男が、通夜葬儀を見事に取り仕切ったのには感動した。

弟は私と違い、当時俳優志願で、演劇学校に通う傍ら、実に様々な仕事を転々としていた。

テレビや舞台にも時々登場したが、40才を過ぎた半ば、俳優を断念し、東洋サッシ(現在のトステム)に就職し、過去の経験を活かして頭角を現した。

当時の社長に気に入られ、全国の営業所長の教育を担当し、10年前の退職時まで東洋一を誇るトステムのショールームの初代館長として辣腕を発揮した。

退職後は、かねての希望であったコーヒー専門店を開店し、現在に至っていた。

面倒見の良い彼の性格からか、退職後10年も経つのに、通夜葬儀に200名以上の弔問客が訪れたのには、実に驚いたものである。

享年69才、70才を前にして他界した現実を、未だに受け止められないで居る私である。