「正門から望む」
<<インド>>--アグラ--


白亜の殿堂タージ・マハルを中央門を通して見た光景。

誰もが巨大な門を通してこの殿堂を眺めた瞬間、思わず歓声を漏らすのである。

場所は違うが、その感動はエジプトのピラミッドを、眼前に見た時と似ている。

国と時代は違うが、どちらも往時の権勢を欲しい侭にした、一人の王が建立したものである。

タージ・マハルは当時のインドの王、シャージャ・ハーンが最愛の妻ムムターズ・マハルの死を悼み、全財産を投入して建てた白大理石の霊廟である。

1631年から22年の歳月と、世界から集めた人材と資材を投入したため、国費が危うくなり、後に王は息子によってアグラ城に幽閉されてしまうのである。

権威を奪われた王は、アグラ城の牢獄の窓から、自分で建てたタージ・マハルを毎日眺め、王妃を偲んだという。

正に世界一大きな恋愛物語と言えるだろう。