「老骨に鞭打って」
<<インド>>--ヴァラナシ--


体格の良い女性を乗せて、重いリンタクを押す老人の姿。

生活のためには、この稼業を止める訳にはいかないのだろう。

この老人にとっては、この人力車が生きるための貴重な財産であるに違いない。

人間も、この年になると顔から険しさが消えて、この仕事で年輪を重ねてきた厳しさだけが刻まれているような感じがする。

小さくなった彼の体に比べ、リンタクのサドルがやたらに大きく感じられる。

仕事を終えて家に帰った時、温かく迎えてくれる家族が居る事を祈りつつ、シャッターを押したものである。