水俣地元学
 <自治する力を、持続的な取り組みに> 世界に類例をみない産業公害の水俣再生081120

 地域に遍在する資源が期待され、高い評価の元に外部投資で経済規模を拡大した地域。
 円高、生産拠点の海外移転、モノつくり産業に厳しい<非製造物主義>。
 それら構造的要因で、地域経済は規模縮小、人口減少、18歳人口の域外流出に当面している。

 吉本哲郎著『地元学をはじめよう』は、その序章とももうすべき「地元学のはじまり」で、以下に述べる。

「水俣という地域社会は混乱のきわみにありました」(2p)。
「世界に類例をみない産業公害の発生に多くの人の健康と生命が奪われただけでなく、中傷、偏見、差別にさらされていました」(同)。
「水俣病のことを外の人たちは調べてくれた」。「でも住んでいる私たちはよくわからなかった」(3p)。
「だから下手でもいいから自分たちで調べていこう」(同)。
「自分たちのことは自分たちでやるという自治する力を根本に据えないかぎり、持続的な取り組みは不可能だ」(同 傍線部分紹介者) (同)。

水俣地元学に注目する方は少なくない。写真は http://blog.drnagao.com/2018/11/post-6544.html 「Dr.和の町医者日記」でお目にかかる。

1995年「地元学」と命名(4p)。趣旨は「自治する力を根本に据えないかぎり、持続的な取り組みは不可能」にあるようで。
95年は実に1954年、地域が異変に遭遇し、40年となる。
背景に公費で環境は元に戻ったように見えるも、<市民の対立>や<(利害者間の)中傷、偏見、差別>はなくならなかった。

安価な資源を大量に、しかも安定供給。そもそも評価が低く、労働集約型に依存せざるをえない<期待の資源>は、海外資源に置換されつつあった。
国際的な時刻資源温存の時代に、協定で<獲るから、買う>に移行した資源は、内外書価格差に、本邦の高額賃金が忌避されている。

域内競争で培ってきた経済圏、いまやインターナショナルな領域での競争に当面。
地域の付加価値を高める。産業構造の変化に対応できる科学技術の蓄積が急がれる。
国の内外に評価される対象であろうとするとき、蓄積すべきは「自治する力を根本に据えないかぎり、持続的な取り組みは不可能だ」では、ないか。