「自立、知識と教養の基礎」 岩竹美加子著『フィンランドの教育はなぜ世界一か」
 「自立した市民としての知識と教養の基礎を身につける」 岩竹美加子著『フィンランドの教育はなぜ世界一か』(新潮新書 2019年)

 「教育がなぜトップクラス」なのか。「幸福度も世界一なのか」。その問いに答える新書版の解説書。著者は夫妻でフィンランドに滞在。子どもをフィンランドと日本の学校で教育体験させた。

 フィンランドが世界一の教育水準といわれはじめたのが2000年代のこと(p3-4)。
 「北欧型福祉国家への転換は1980年代以降のこと」(p35-36)「女性が働きやすい環境、それは1970年代以降に起きたこと」(p36)とある。存外、新しい時代のこと。

 PISAはProgram for International Student Assessmentか。15歳児童の学習到達度国際比較で「読書力や科学的リテラシーなどの多分野などでフィンランドは一位を記録している」。

 それは知られるようになったのであるが。その要件を適記すれば、以下のようになるか。
 1)小学校から大学まに至るまで無償。17歳以上の人には給付型奨学金、学習ローン、家賃補助からなる学習支援で「無償と平等の強調(一人ひとりの充足度を高める)。
 2)子どもの様々な権利の保障。学習する義務はあるが学校に行く義務はない(p8)。
 3)自立した市民としての知識と教養の基礎を身につける。

 <(フィンランドが)世界一の教育?とするとき、その意図は「子ども一人ひとりが自分を成長させ自分らしく成長していくこと」。特に「第五章 フィンランドはこうして『考える力』を育てている」(145―184p)は必読。