漁場の拡大 マグロ漁業ー中ー


漁場の拡大
 ここで注目しておきたいのは、〝マグロ〟〝沖合から遠洋〟〝鱈・鰈・目抜鯛〟のキー・ワードである。釧路水産の紹介で、ニシン・サケ・マスは年々減少しているがマグロがあるよ、と言っている。マグロがあるけれども、タラ・カレイ・スケソだって頑張っているよ、誇っている。漁場は沿岸から沖合、沖合から遠洋へと転じているよ、とも言い及んでいる。

 ここに言われている〝沖合から遠洋〟への意味は、西は襟裳岬、東は色丹沖での釧路漁船の活躍をさす。漁船動力化の成果であり、マグロや鰈・鱈など底魚を追っての活躍が特筆される。

 マグロが釧路近海で大量に漁獲されたのは、寒流が弱まったために暖流が勢力を増し、マグロが釧路沖に接近したという調査報告を読んだことがある。
 釧路港に水揚げされるマグロは、昭和六年からは減りはじめ、昭和十七年を最後に休止するのだとされている。日中戦争が拡大し昭和十三年からは漁船が軍需品輸送に徴用されて、マグロ漁業の発展を押さえたとも言われている。