2017 02/02 05:50
Category : 書評
ユダヤ民族のために成立した文書集 加藤隆著『旧約聖書 「一神教」の根源を見る」
なかなか、魅力的な筆法ではじまる.
「前十三世紀の『出エジプト』という事件」
「(旧約聖書の舞台)エルサレムという町があるあたり、『パレスチナ』と呼ばれる地域が中心」
「独立の確保、再現、民族統一の維持、といった政治的な関心がどうしても強くなる環境」.
「聖書は一気に書かれた長編小説や大論文のような一貫性のある書物ではありません」(13p).
読んでいて、本邦の記紀編さん、口承伝承が一書にまとめられた神話集大成の時代を念頭に、思い浮かべて.
著明.「エデンの園」
ほかに「カインとアベルの物語」「ノアの洪水物語」「パベルの塔の物語」.
記紀なら「象徴表現」とされる記載が、どのような意味あいを体現することなのか.
世に「真実が書かれているも、事実ではない」とする「真実の扉」.そこを開扉する<楽しみ>があると、いうべきか(日本放送出版協会 2017年).