2017 01/31 06:09
Category : 書評
災害・人生・歌論 浅見和彦著『鴨長明と方丈記』
鴨長明といえば、方丈記.ほかに『発心集』、『無名抄』の著作があるではないですかー.
そこをまとめて、一冊.
方丈記は「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず」。以下に、<無常観>を読み取るを指摘するは、多くの方が思いをはせる.
本末に玄侑宗久師が<風流のはじまりか>と、読みとく.
冒頭は<地震><竜巻><大火>に、<悪い予感>の的中は<福原遷都>.
著者は「文章に工夫」「事件情報が正確」と、文章スタイルを評価.ある意味、高い人気のヒミツを明らかにする、か.
<身内>.歌をめぐって妥協がなかった、か.
一族の、本家の主流の歌に意を唱えて忌避され、のちに朝廷の神職あっせんにも障害となった.
出家して方丈に住する身に.満足と迷い.安住と妻帯に安堵しつつも、仏道の<迷い>かと、ためらう.
<勅撰和歌>.最後は作品と歌論.
そこに非凡な才能を示す.勅撰集に採用され、歌集も手がけ、歌論も都ビト、天皇の後ろ盾があって.
本書は、長明研究の今日的標準なのかと受け止めた.
六国史や『吾妻鏡』の読みこみのうえに、『方丈記』『発心集』『無名抄』の解釈.
時代のなかに思想を読み解く成果は、初めて接した時代にはなかった、長明理解の段階かとおもう.