宮崎義一著『複合不況』
 中公新書で著名な本を、中古品で購入してみた.

 結論的には最終章=「Ⅳ 金融自由化の帰結としての複合不況」を読むことで、複合不況の誘因と対処の方法を納得できる.

 しかし、そこへ行くプロセスが多くの図表、専門的な経済用語、横文字が目白押しで門外漢にはいささか、難解.

 引用しておく.
 その一つは「(世界経済を動かす力が)財やサービスの生産および貿易の側から国際的な資金の流れの側に移行したことを物語っている」(261p).

 その二は、「(複合不況の要因を)従来例を見ない『金融部門リードの景気後退』である点であり、従来型の有効需要不足による景気後退とは異なっている」(250p).

 その三は、「実質GNP(フロー)の成長率の低下する前に国民総資産(ストック)の伸び率が低落した点こそ、当面する複合不況の最大の特徴」(256p).

 1986年から1992年.ビジネスマンには、懸命に読まれた一書なのであろう.そのことは、よく理解できる.(中公新書 1992年)