2012 08/27 07:09
Category : 書評
保坂正康・梯久美子談「封印された『兵士の記憶』」。『文藝春秋』9月号の特集記事の導入に、ノンフィクション作家で聞き取り活動を通じた著作をもつ二人が、対談。
保坂は、兵士に話を聞こうとするとき肝に銘じていることのひとつが「けっして『裁かない』こと」と、述べる(251p)。
メディアが示す「大変でしたね。戦争は辛かったですね」という方向に持っていこうとすることは「良くない」と考えている。
戦争で被害を論ずるのもよいが、加害者の側面を内包しているからだと、言いたげ。
特攻隊の発進で、躊躇する兵員を飛行機に押し込めて出発させる「整備兵」の仕事もあったのだ、と。
青酸カリを無理やり、口におしこめることとあわせ。当事者は、かたりたがらない(同)。
保坂が「戦闘という異常な体験で傷を負った心をケアする」装置が、日本にはなかったことを指摘。先年の東日本大震災を経ても、「未だに日本社会には、辛い記憶と闘う者へのケアのシステムが無い」とする(255&256p)。
梯は『散るぞ悲しきー硫黄島総指揮官・栗林忠道』を公に。
「つい最近の昭和という時代に、あれだけの死者を持ったという事実を封印してきたことが、戦後のいろいろなゆがみと関係しているのかも知れない」と述べる(256p)。
二人は、「その封印を解くのが、われわれの仕事」(同)で一致するかの感。
記憶の記録化は、本土空襲から戦時実体験に。戦時体験を親にもつ「最後の世代」といわれると、筆者もそのとおりである、が。
保坂は、兵士に話を聞こうとするとき肝に銘じていることのひとつが「けっして『裁かない』こと」と、述べる(251p)。
メディアが示す「大変でしたね。戦争は辛かったですね」という方向に持っていこうとすることは「良くない」と考えている。
戦争で被害を論ずるのもよいが、加害者の側面を内包しているからだと、言いたげ。
特攻隊の発進で、躊躇する兵員を飛行機に押し込めて出発させる「整備兵」の仕事もあったのだ、と。
青酸カリを無理やり、口におしこめることとあわせ。当事者は、かたりたがらない(同)。
保坂が「戦闘という異常な体験で傷を負った心をケアする」装置が、日本にはなかったことを指摘。先年の東日本大震災を経ても、「未だに日本社会には、辛い記憶と闘う者へのケアのシステムが無い」とする(255&256p)。
梯は『散るぞ悲しきー硫黄島総指揮官・栗林忠道』を公に。
「つい最近の昭和という時代に、あれだけの死者を持ったという事実を封印してきたことが、戦後のいろいろなゆがみと関係しているのかも知れない」と述べる(256p)。
二人は、「その封印を解くのが、われわれの仕事」(同)で一致するかの感。
記憶の記録化は、本土空襲から戦時実体験に。戦時体験を親にもつ「最後の世代」といわれると、筆者もそのとおりである、が。