佐々木閑著『ブッダ 真理のことば』
佐々木閑著『ブッダ 真理のことば』 インド・中国と伝来し多様化した仏教のなか、原始経典を「釈迦の仏教」(7p)と位置づけ、その本質を考え、「真理のことば」を読むことは「非情に意味のあること」とする。

 4話で構成する講座。「一切皆苦」、「諸行無常」、「諸法無我」、「涅槃寂静」を解説。折々示す、比喩引例が意味深。

 「刹那」の解説に映画のフィルム映写。光を透過させるヒトコマを刹那。これから、映る予定のコマは未来、すでに映写されたコマが過去。
 「無明」を「この世で起こっているものごとを正しくとらえる力がない」(42p)、「諸行無常」を理解していないことだと説明(54p)。

 「釈迦の仏教」と科学は、「超越存在を認めず、世界を原因と結果の機械論的因果則でとらえようとする視点で共通」とする。
 仏教はその因果則を精神内部の向上に利用、科学は外界の法則を探究するのに使うという違いはあるが」と(46p)。

 「100分で名著」のNHK番組テキスト。たまたま放送では、苦に二種ある旨の説明があったかと、思う。自分でつくる苦、関係なくせまりくる生老病死で「感ずる苦」。話は一過性のウロオボエながら。(日本放送出版協会 2012年)