2011 05/05 13:42
Category : 書評
林 丈二著『閑古堂の絵葉書散歩―東編』。絵ハガキ。ブームは済んだのかもしれないが、何枚かのセットで発行され、流布した。セットで購入し、思い出の品として保存する人もおれば、意に介することなく知友人に書簡で送りつけるなどバラバラにした思い出をもつ人も少なくない。
どちらにしてもそこには、凝縮された空間描写が記録され、セット販売ゆえの物語性を内包する、不思議な存在でもある。
本書は15の話題がもりこまれている。小樽、青森、秋田から鎌倉までの間に、越前・能登がはいりこむのも、当時の日本海岸が経済的に資産と文化の蓄積をもつ一帯であったことを示している。
「凝縮された空間描写」と書いたが、そこに示されたシンボル性景観と、それゆえに背後に蓄積されている具象情報を結びつけている点で、「絵ハガキ」の属性をよく引き出しているというべきである(小学館 1999年)。
どちらにしてもそこには、凝縮された空間描写が記録され、セット販売ゆえの物語性を内包する、不思議な存在でもある。
本書は15の話題がもりこまれている。小樽、青森、秋田から鎌倉までの間に、越前・能登がはいりこむのも、当時の日本海岸が経済的に資産と文化の蓄積をもつ一帯であったことを示している。
「凝縮された空間描写」と書いたが、そこに示されたシンボル性景観と、それゆえに背後に蓄積されている具象情報を結びつけている点で、「絵ハガキ」の属性をよく引き出しているというべきである(小学館 1999年)。