襟裳岬
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 襟裳岬。12月9日、釧路空港を飛び立ったジェット機。ほどなく目の下に襟裳岬の先端。

 語源はアイヌ語で「ねずみ」。北海道の太平洋岸に襟裳岬、様似町にエンルム岬。

 地図上ではいかにも骨太に記載されている岬も、航空機内からながめると、か細い線に転じている。

 風の強い岬。それがまた名物でもある。歌に「なにもない春」とうたわれて、地元の人が異をとなえた。

 ある。波がある、風がある、灯台がある、険峻がある。「なにもないわけがない」。

 訪れる人はマイカーに転じた。満員バスが交差し、襟裳観光が華やかは1960年代、か。

 秘境は、あえなくマイカーの排気ガスで温度を高め、あわただしく立ち寄って次の名勝地に向かう。通過の岬になった、かも。