仙石 泰山・夢枕 獏著『古寺巡礼京都 萬福寺』
 黄檗宗は禅宗の一流ながら、江戸時代に本邦に伝来したことで知られる。

 仏教自体が中国を通じて日本にもたらされたが、黄檗宗は「最新」」(6p)にして「普茶料理」に象徴される「中華風」(10p)というのが、第一の特質であろう。黄檗は「キハダ」の樹種名(91p)。


 然らばなぜ、江戸時代、しかも中国から、か。

 長崎に来ている中国人の信仰と葬儀を、オーソドックスな中国禅によってというのが、ポイントということだ(94p)。後水尾天皇の生母の実家の別荘地にあたる宇治を寺基にしようと申請し、認められた。家綱の時代、徳川も文治主義に傾斜していたから(98p)とされる。


 斉堂は「サイトウ」、法堂は「ホットウ」と読むが、祖師堂「そしどう」、禅堂の堂は「ドウ」と読む。全体の堂配置図がほしい。 (淡交社 2008年)