小林 登志子著『古代オリエント都市の旅』
 古代四大河川文明のひとつメソポタミア文化は、ヨーロッパとアジアの相互に開かれているうえ、イスラーム文化圏であることも動静が細かい。

 本書は紀元4000年というから、今から6000年前から2000年前ほどまでのオリエント社会を記録文化のうえから俯瞰しているように思える。
 思えるというのもおかしいが、地図を用意しペーパーにチャート図を描いて読まないと、という感じ。
 地図とペーパーというよりも高校時代の世界史の知識が十分でないと、いささか難解。

 アッカド語がオリエント社会の国際語という指摘は、なにかしら読書をワクワクさせる。
 
 最後に神聖文字がとりあげられ、「文字には過去の英知が宿っている」。その世界を理解し、そこへの到達点が、本書の意図ということかも知れない。 (日本放送出版協会 2009年)