池原麻里子著「ipadは紙の本を殺すのか」。
 池原麻里子著「ipadは紙の本を殺すのか」。本稿は『文藝春秋』7月号に掲載。

 5月であったか、「ipad」が空前のブームで発売されて、電子ブックの時代。「ipad」による読書感をAmazonの端末「キンドル」との対比で論ずる。

 古典的な冊子を電子ブックで簡単に読めるが、時代感覚や質感というものを超えてしまうと、指摘する。

 読みにくいが、「○○ページのあたりに書いてあったはず」は、簡単に検索機能でたどりつけるという。

 海外旅行に出ていても、重い荷物にして持参しなくても、何冊でも何種類でも読めるという。

 紙の本で情報を得ていた筆者と、最初から電子ブックで本を読むことに習熟した者にとっては、むしろ電子ブックへの抵抗感は少なくなっているはず。

 作者や著者と出版界との関係も変化するだろう。人気度が相当な確率を占めるであろうが、出版元の恣意というものはどうなるか。

 読んでいて、地域の専門店とコンビニ連鎖店との関係が頭に浮かんだ。

 苺や豆腐、かまぼこの本来の味が、コンビニで売っている《売れ筋商品》という名の、実は《まがいもの商品》のみが横行することになるのではないか、と。