星降る夜は
ゴッホの作品を星の位置で日時特定
 ゴッホが自殺した1890年に描いた「夜の白い家」は、「6月16日午後7―8時」の風景だったことを、米天文学者たちのチームが解析した。
 オルソン教授らは昨年5月、天文学や美術史など分野の異なる研究者らでチームを組み、2度の大戦の戦火を免れた現地を訪問。人口約5000の町の家々を1軒ずつ調べて「白い家」を見つけた。屋根に出窓が付けられるなど手が加えられていたが、元は絵とそっくりだったことを確認した。
 絵と同じ角度からみた当時の夜空をコンピューターで再現すると、輝く星と6月16日午後8時の金星がぴったり合った。気象台の記録からも前後数日、雷雨や曇り空が続いたが、この日は一日中晴れていたことが確かめられた。
 新月に近い夜空は暗く、日没後約2時間、「宵の明星」が西の空にマイナス3.9等星と抜群の輝きを見せていたはずという。
 ゴッホの作品は特徴的ながらも正確なスケッチに基づいていることが知られている。オルソン教授は「人物や建物の影は日没前後の午後7時ごろのもので、金星は日没後の午後8時の位置だ。絵は下から上に向け仕上げられていったに違いない」とみている。

星降る夜