見舞い
どんなに離れたくないと思っていても
いつかは
すべてのひと
すべてのものと
お別れしなければならない日が来るのがさだめ。

とある女性の見舞いに行ってきた。
年齢は98才だと思う。

むくんでいるのか顔のしわが無くなっている。
声をかけてもまったくの無表情。
口の中に巻き込まれているのか
あいたままの口に唇が見当たらない。

亡くなられたご亭主を見舞いにいったときとよく似ている。

「また来るわな。 ばいば~い。」

身動きひとつしなかった女性の左手が動いた。

手でバイバイしようとしてくれた。