「敗北を覚悟した、いわば浪漫的精神」 北方性文学=北海道に渡道の作家群060325
 「敗北を覚悟した、いわば浪漫的精神」 北方性文学=北海道に渡道の作家群060325

 神谷忠孝著「文学における北方性」なる紀要論文。
 「北方性文学」。このキーワードを検索欄に入れて、イの一番にヒットした。
 北海道東部では、同人誌『北海文学』を拠点に一時代を築いた鳥居省三は申していた。

 「日本の近代文学には確かに<北方文学>という一ジャンルがある」。
 「文学における北方性」と「北方文学」。
 類縁の言葉ながら、その差異に<担い手の思想>が息づいてはいまいか。

 北海道民はいかに、考察の幅を確かなものにできるであろうか。
 ところで、神谷論文。その冒頭部分は、以下の記載で始まっていた。

 地理的・風土的な観点
 日本における道筋として東北・北海道の文学を考察する方法

 もう一つは文学的発想
 「北」という字に「背く」「逃げる」「やぶれる、負ける」「北方に行く」などの意味が含まれていることに視点をおいて敗北を、覚悟した北方指向、いわば浪漫的精神を考察してみる方法。

 うち、北海道にやってきた文学者に共通する。(つまり以下の作家群には)「結果論といえばその通りであるが、北海道にやってきた文学者に共通している傾向」

 幸田露伴 国木田独歩 徳富蘆花 石川啄木 岩野泡鳴 長田幹彦 葛西善三
 有島武郎 大町桂月 鶴田智也 橘外男
 (神谷忠孝「文学における北方性」 『北海道文教大学論集 第7号』p. 98-87,  2006年03月25日)