「(詠歌は)民衆の今、"思い”を記録」 細胞学者で歌人の詠歌論210103
「(詠歌は)民衆の今、"思い”を記録」 細胞学者で歌人の詠歌論210103

 「パンデミックは人と他人を分断する」
 「歴史書に一つだけないのは、その時の民衆の思い」「(時の民衆の思いは)時の短歌にもっとも表現されている」。
 細胞生物学者にして歌人、新聞投稿歌の選者を務める永田和宏氏が語る。

 新聞社に寄せられる短歌の6割は新型コロナ感染症を題材に。

 「ハリネズミ 夫婦の適度な距離感 外出自粛で壊される」
 (永田)「コロナを詠い。ユーモアに満ちて、人間関係が豐になる」。聞き手は宗教学者の釈轍宗師。

 「テレワーク 出来ない人が支えてる 文明社会の根っこの部分」
 (永田)「ある意味、時代への皮肉。人との接触を制限できない職種、立場のヒトが社会のニーズに危険を冒して支える」。

 「マスクせず レジに並べばにらまれる コロナより怖い同調圧力」。
 (永田)「これは自身の経験だが」と申したような気がする。「習慣がないもので、ついついマスクせずに店頭へ」。
 これは、ありうる。しかし、そこには「同調圧力」というか、「監視社会」というか。「パンデミックは人と他人を分断する」の素地になる、と。

 他方で細胞生物学者ならではの一言も。
 「感染を理解しながら、(感染経路を)理解することで」「感染症は防ぐことのできるモノ」と説き、「ウィルスは征服できない、受胎のときに遺伝子も組み込まれておる」。

 そろそろ結ぶ。話は続くも。
 「感染がよそ事、他人ごとでは防げない」「自分は大丈夫、感染しないの思い入れは、平常バイアスや楽観バイアスと整理され、極めて危険」と警告。
 (NHKETV『こころの時代 宗教・人生 コロナの時代を読む』211003 05:00~06:00)