転 西国三十三ヵ所
 日曜日の教育テレビ、午後2時台は「こころの時代」。11月16日のこの時間は、松尾寺(まつのおでら)の名誉住職が出演。
 七度にわたる「徒歩巡礼」を通じての「信」を語る。

 徒歩で巡礼と言っても、その道のりは1000キロ。紀伊半島を出発し、兵庫県、京都、琵琶湖から、岐阜県にまたがる。古道をたどり、観音信仰の歩く行から、なにを考える。

 宗教に三種。「歩く宗教」、「座る宗教」、「拝む宗教」。
 
 歩いて、自然の摂理との出会い。「抜苦与楽」というらしいが、なんといっても「転」、「転ずる」の思想か。
 ムカデは挿されるとはれるが、菜種油につけておくと「切り傷」に効用。
 マムシの猛毒は、焼酎につけてのむと強壮剤に。

 いかなる化学変化があるかはともかく、毒が転じて薬にかわる妙。その確認という。

 「歩くことで転ずる抜苦与楽」。「苦難のなかに慶びにかわる心の転換」、「毒を化して薬とする」、「右足を鋤、左足が鍬で心田を耕す」=「抜苦与楽」。
 「生あるままにして罪科罪障から生まれかわる」と説いていた。

 地域にも巡礼札所が設けられ、巡礼行事に参加する市民を見かける。ただ、歩いているようでもあるが、その形にこめられた意味を問うておきたい。