花吹雪の下に差し出す素っ首ひとつここにあり
ゆうがたKプロデューサーが近くまで来ていると渡辺から連絡。クリエに向かいながら、タマ切れの件だろうなと思った。案の定だった。というよりも、最初からの確信犯でもあった。平均的な、まあまあのものでお茶を濁すか、突出したモノに挑んで援軍を待つ、か。即決で後者に決めた。さすがにKプロデューサーは即応せず。長いつきあいに乗じ、つけこんで離陸し、加速した。詰められるところは可能なギリギリまで詰めに詰め、ここまで来た。明日、プレビューの後で、俎板の鯉となる。契約違反で出入り禁止を覚悟し、謝ろうと話し、別れた。あの仕事だけは、とどまった時点で行き止まる。その想いは、今もみじんもゆるがない。七年前の、いちばん最初の「夏やすみ」ロケから、すでに予算を逸脱していた。「会津豪雪」も、また。とどまれば、どのカットも「ふつう」を超えることはなかった。はず。とはいいながら、である。口約束とはいえ、やりましょう、と引き受けた半分で尽きるのだ。明日は、一切の弁明を封じ、ひたすら頭を下げるしかない。最後の仕事が「家族はつづく…」。皮肉なことではあるが、悔いは、ない。胸のうちには、みごとな秋の空が広がっている。 2011.8.30 21;00 T.M