しみじみと、冷えた。
ダッチロール2カ月。正確には4カ月。昨日で、なんとかアップ。家に戻りスタジオで焼いてもらったDVDではじめて通して観た。よくできているな、と思いながら、こういうススメ方の弊害も、また。古河案件のMAで起きたスタッフへの違和感を、編集のヤマ場で持つことになった。それぞれ長い時間を共にしてきたスタッフではあるが、自分の中で何かが音を立てて崩れた感覚が未だに消えない。同じ空気を同じ場所で呼吸していることが、いずれもふいにイヤになった。生理に、皮膚に届いてしまったダメージは、コトが過ぎてもなお消失せず。もしかしたら異なるフィールドに立っているのでは…そう思ってしまった瞬間に、技術だけなら、ほかにもいるだろう、と、浮かんでしまった感想を消すことができない。仕事は等価ではない。口に出して言うかどうかはともあれ、等価であるはずも、ありようはずも、ない。すぐれたデザイナーも気の利いた選曲家も、パートを担当するだけなら東京には掃いて捨てるほど人は、いる。そういうことに目をつぶって、はみ出した部分をこそ共有しいるのだと言い聞かせながら二十年近くやってきたが、ターニングポイントにきたな、と痛感。根拠のない慣れだけがかもしだす親密感と達成感をアメとして進んでいけるのか、と己に問えば、答えは、ひとつ。本願としたのだ。等価であるなら、袂を分かつ。ほかに、ない。切実な関係を斬ることを泣いて馬謖を斬る、という。おれにとっての馬謖は、皆無。一人もいない。この夏の終わりの仕事を済ませて再編するか、即決でいくか、それだけを迷っている。しみじみと、冷えた。