2011 06/05 15:27
Category : 日記
From: 益子自宅
Date: Sat, 04 Jun 2011 22:48:58 +0900
To: 夢工場ml東京WG
Subject: [yumekoujou:03574] Re: 永井路子旧宅
許可の問題とは別に、今回はNG。
理由は、写真でチェックすると「商家」の特徴が濃すぎる。
かなり裕福な商家で、想定している素朴さとそぐわない。
それと商家ならではで、「広縁」が文字通り広すぎだね。
さらに庭が広すぎ。縁ごしの風景として風情がない。
あくまで田沢湖あたりの「潟分校」に通ったはずの家族が暮らす家で
トロッコ電車のようなポッポイの汽車が走る駅が唯一の時代との接点で
と、いうイメージを担保できないと、こんどの仕掛けは成立しない。
7年前の「記憶シーン」に出てくる階段に貼られた少年少女が
子ども時代をすごしたはずの、郷里の家。
総合公園の古民家でガマンしようか、と話したのは
つましさを演出できるだろうからです。
庭だって、永井旧宅に比べるとぐっと狭いでしょ?猫の額でしょ?
永井路子旧宅の庭だとさ、夏の田舎の家の庭に咲く花、似あわないよね。
ひまわりがぼさーっと風にゆれてたり、カンナが無自覚に咲いてたり
梅の古木に愛染葛が紅い花をかんむりのように巻き付いていたり…
そういう誰の胸にも「あぁ」と甦るDNAのような家。
軒。雨どい。縁側。土の庭。手が届きそうな雑草まじりの植え込み。
そういうものを障子も雨戸も開け放った薄暗い部屋の中から
蝉しぐれ聴きながらごろん横になって眺めているうちに眠くなる…
柱時計のチックタック音、ぶーんとうるさい蚊、近くを流れる小川の流れ
遠雷、夕立、走り回る仔犬の鳴き声…
吊られた蚊帳や、豚の蚊やりからのぼる煙が似合う、家。
庭先には大きな樹木があると、なおいい。
たとえば胡桃の木なんてね。その緑の繁りが
真夏のひざしをさえぎって、昼寝したくなるような黄金の時を担保する。
あれ? と思ったでしょ。古河のビー・サイエや観環居の2階みたいだって。
そう。「なつかしいのに新しい」をテーマにした50周年モデル。
これからの「科学の家」。
あの原型となった「古いニッポンの家」を
一目瞭然に切り取ることで、
そこから巣立っていった子世代たちの現代住宅と
しっかり通底する「本質的な継続性」を意識させ
同時に、「絆」というコトバの根底にあるものを、比喩したい。
これが「夏の楽園篇」の裏コンセプト。
ほんとうは北に行くことがベストなんだよ。
でもいろいろあって、近くで探しているわけだ。
「旧家」ではなく「旧・民家」。
パッシヴ・ソーラー・デザインというkey wordの原風景。
この人たちは、こういう空間で育ったからこそ
新しい家をつくる時に、こんな家を選んだのだろう…
なるほどなぁ…
おれが欲しいのは、思い描いているのは
そういう「おうち」です。
目を閉じて「ふるさと」とつぶやくと浮かぶ「家」。
あぁ、帰りたいなぁと、つい思う「場所」。「記憶」。
仕事は、制約があるからこそおもしろい。
ハードルが低いようなら、
自らの手で上げてみようじゃないか。
見つかるといいね(笑)
Date: Sat, 04 Jun 2011 22:48:58 +0900
To: 夢工場ml東京WG
Subject: [yumekoujou:03574] Re: 永井路子旧宅
許可の問題とは別に、今回はNG。
理由は、写真でチェックすると「商家」の特徴が濃すぎる。
かなり裕福な商家で、想定している素朴さとそぐわない。
それと商家ならではで、「広縁」が文字通り広すぎだね。
さらに庭が広すぎ。縁ごしの風景として風情がない。
あくまで田沢湖あたりの「潟分校」に通ったはずの家族が暮らす家で
トロッコ電車のようなポッポイの汽車が走る駅が唯一の時代との接点で
と、いうイメージを担保できないと、こんどの仕掛けは成立しない。
7年前の「記憶シーン」に出てくる階段に貼られた少年少女が
子ども時代をすごしたはずの、郷里の家。
総合公園の古民家でガマンしようか、と話したのは
つましさを演出できるだろうからです。
庭だって、永井旧宅に比べるとぐっと狭いでしょ?猫の額でしょ?
永井路子旧宅の庭だとさ、夏の田舎の家の庭に咲く花、似あわないよね。
ひまわりがぼさーっと風にゆれてたり、カンナが無自覚に咲いてたり
梅の古木に愛染葛が紅い花をかんむりのように巻き付いていたり…
そういう誰の胸にも「あぁ」と甦るDNAのような家。
軒。雨どい。縁側。土の庭。手が届きそうな雑草まじりの植え込み。
そういうものを障子も雨戸も開け放った薄暗い部屋の中から
蝉しぐれ聴きながらごろん横になって眺めているうちに眠くなる…
柱時計のチックタック音、ぶーんとうるさい蚊、近くを流れる小川の流れ
遠雷、夕立、走り回る仔犬の鳴き声…
吊られた蚊帳や、豚の蚊やりからのぼる煙が似合う、家。
庭先には大きな樹木があると、なおいい。
たとえば胡桃の木なんてね。その緑の繁りが
真夏のひざしをさえぎって、昼寝したくなるような黄金の時を担保する。
あれ? と思ったでしょ。古河のビー・サイエや観環居の2階みたいだって。
そう。「なつかしいのに新しい」をテーマにした50周年モデル。
これからの「科学の家」。
あの原型となった「古いニッポンの家」を
一目瞭然に切り取ることで、
そこから巣立っていった子世代たちの現代住宅と
しっかり通底する「本質的な継続性」を意識させ
同時に、「絆」というコトバの根底にあるものを、比喩したい。
これが「夏の楽園篇」の裏コンセプト。
ほんとうは北に行くことがベストなんだよ。
でもいろいろあって、近くで探しているわけだ。
「旧家」ではなく「旧・民家」。
パッシヴ・ソーラー・デザインというkey wordの原風景。
この人たちは、こういう空間で育ったからこそ
新しい家をつくる時に、こんな家を選んだのだろう…
なるほどなぁ…
おれが欲しいのは、思い描いているのは
そういう「おうち」です。
目を閉じて「ふるさと」とつぶやくと浮かぶ「家」。
あぁ、帰りたいなぁと、つい思う「場所」。「記憶」。
仕事は、制約があるからこそおもしろい。
ハードルが低いようなら、
自らの手で上げてみようじゃないか。
見つかるといいね(笑)