柿と栗と芋と【ディセンバー】
ずいぶんひさしぶりに
J・ウィンストンの【ディセンバー】を探し出しリピート。
【天然の日本】をまとめたころに
大熊ビルの4階でよくかけていた。
四季の中でこの4枚目がいちばんよかった。
凡庸さの底に冬の空気だけが醸し出す
凛としたはりつめた気配がただよって飽きることがなかった。

冬のロケで北国に行くと、
出発前の慌ただしい時間の中に、
ピーンとした静止した時間を感じる瞬間がある。
たぶん、凍りついたものが壊れたり、
落ちて別の凍った葉や地面にあたる音なのだと思う。

そんな音を感じると、時が停止する。
そして音楽が聴こえてくる。
その音楽が、一時期、彼のピアノソロだった。
時間にすればほんの瞬間。
まばたきする間だったとは思うが、
短い【永遠】でもあった。

どんよりとした秋の日曜日の午後、
抱え込んだ問題に対処しようと腕組みをしながらしたことは、
ディセンバーのリピート。

逃げるのではなく、静かに対処したかった。
3回リピートした。胸のざわめきが鎮まった。
やれることをやってみようと思い立つことができた。

柿と栗と薩摩芋で朝兼昼にした午後。

おれは、まだ生きている。