月ばかり眺めていたむじなの夜
月をみながら帰京中、Wがぽつんと「迎えに行きますか」と呟いた。まったく考えていなかった。電話をしたが留守電になっていたので、そのまま戻った。車を降りたら、宵月がさおざえとかがやいていた。一晩が過ぎ、ゆうべのWの気づかいが胸にしみた。つきばかり眺めていた、むじなの日々。思い浮かべながら。