2010 04/22 21:22
Category : 日記
カフェクリエ。奥の喫煙席からも外の雨足の強さと寒々とした“氷雨”の気配が伝わってくる。T・ジェファーソン・パーカー著 【嵐を走る者】七搦理美子訳 早川文庫を読んでいたら、こんな一節に出会えた。悪くない夕だな、と。戻って書き写す。
「雨音って地球上でもっともうつくしい音ね」
とフランキーは言った。
「そう思わない?」
「チェット・アトキンズにはかなわないけどな」
とテッドは答えた。
「わたしは雨がここに降るまでの時間を考えるのが好きよ」
とフランキーは言った。
「水が何億年も前から循環しているのは知っているでしょう?
今、わたしたちにあたった水の分子は、
数百年前に大西洋から蒸発し、
その数千年後に雨となって
エチオピアのブルーナイル川に流れ込み、
エジプトへ運ばれる途中で地面にしみこんだ。
そしてどこかの村の井戸水となり、
誰かの手で大麦畑にまかれた。
そこでまた蒸発して
タイのバンコック上空に停滞している前線まで運ばれ、
雨となって南シナ海に降りそそいだ。
そこから北回帰線にそって
北太平洋まで移動して海流の一部となり、
数百万年後に北西の貿易風に押し流されて
カリフォルニア沿岸までやってきた。
わたしたちの小さな分子は
そこで海面から上昇して核となる粒子を見つけ、
雨滴となってトラックの荷台の上に寝そべっている
犬の上に落ちたというわけ」
雨音以外、何も聞こえなくなった。
「雨音って地球上でもっともうつくしい音ね」
とフランキーは言った。
「そう思わない?」
「チェット・アトキンズにはかなわないけどな」
とテッドは答えた。
「わたしは雨がここに降るまでの時間を考えるのが好きよ」
とフランキーは言った。
「水が何億年も前から循環しているのは知っているでしょう?
今、わたしたちにあたった水の分子は、
数百年前に大西洋から蒸発し、
その数千年後に雨となって
エチオピアのブルーナイル川に流れ込み、
エジプトへ運ばれる途中で地面にしみこんだ。
そしてどこかの村の井戸水となり、
誰かの手で大麦畑にまかれた。
そこでまた蒸発して
タイのバンコック上空に停滞している前線まで運ばれ、
雨となって南シナ海に降りそそいだ。
そこから北回帰線にそって
北太平洋まで移動して海流の一部となり、
数百万年後に北西の貿易風に押し流されて
カリフォルニア沿岸までやってきた。
わたしたちの小さな分子は
そこで海面から上昇して核となる粒子を見つけ、
雨滴となってトラックの荷台の上に寝そべっている
犬の上に落ちたというわけ」
雨音以外、何も聞こえなくなった。