満月を眺めていたら、やっと人恋しくなった。
外の空気が吸いたくなり1時少し前に松竹撮影所跡の公園に。缶コーヒーを買いベンチに座ってタバコに火をつけ、ふと空を見ると、群雲に月光がにじんでいた。そのまま眺めていたら数分の間に雲が流れ、傘のかかった光の玉が。輪郭があいまいで十三夜にも十六夜にも見えた。このところ月見る気分にもならなかったのだと、2本目のタバコに火をつけた。と、輪郭がみるみる明瞭になっていく。きれいな満月が形を結んだ。雲が晴れると、月明かりがひときわ強まった。東京の街中で見ているとは信じられない冴え冴えとした月光が夜の公園の繁った緑を闇に浮かび上がらせる。しばらくのあいだ呆然と見とれていた。部屋に戻って月例カレンダーをチェック。9日望月、とあった。ロケから戻りちょうど1週間荒編集に没頭。今日は起きてから何をする気にもなれず終日ただぼんやりと過ごしていたが、思いがけずながめることのできた満月に、澱が消えた。ああ、これで脱けられたなと、唐突に実感。明日は十六夜。