VR/キッチン南海/さぼうる/ひとりの男/Z/暗い旅/賭け麻雀
50年代のグラフィックデザイン展を急ぎ足で観てから連絡を入れた。いちばん印象に残ったのは早川の“JAPAN”。自主制作らしいが、いまもしJapanesqueリリースのリーフレットをつくるなら、このまま使いたくなるようなスゴミあり。“改札”を通って地下の試写室へ。クメール語版と英語短縮版VRをPDPで見せてもらった。スクリーンとくらべるとややくっきりしすぎている感はあるが身を乗り出したくなるような鮮明さで印象深かった。隣のシアターでは鑑真和上VRがプレゼン上映していたようだ。PDPはパイオニアのクロ50インチ。群を抜いていたことをHD編集室で比較検証したことを思いだす。外に出たら夕焼け。湿気はあったが暑いという感じはゼロ。汐留へ。ピックアップし、迷った末に神田に移動。南海でカツカレー&ショウガ焼き&イカフライという高校生の頃なら感激で腰を抜かすような晩飯。一本裏のさぼうるに。コーヒー、ジンライム、マルガリータという妖しげな取り合わせで乾杯。2時間近くしゃべり外へ。途中、気になっていたあかりやさんと電話で話した。うれしいことがあったと声が弾んでいたので、ホッとした。あの日、顔を合わせただけで別れ、スタジオワークが続いたためずっと気にかかっていた。明日は「古河案件」のブラッシュアップ。ありていにいえば「作り直し」。とはいえ、少しでも楽しむための準備はした。家庭用Blu-ray第1号作品になるのだ。引くに引けず。オリアーナ・ファラーチ「ひとりの男」ネットで手に入れ一年放っておいた約束の一冊をアリモトに渡した。ヤノも読んでみたいというので検索したら出物があったので二冊注文。一冊は自分用に。奥付には1982年3月25日第1刷り発行とある。冒頭3行目に“あの人は、生きている。生きている。生きている…”と書かれ「ジー…ジー…ジー」とルビ。コスタ・ガブラスの“Z”のラストに「Z…彼は、生きている」とあったのを思いだす。あなたは…の二人称で書かれたもので印象に強く残っているのが倉橋由美子の“暗い旅”とファラーチの“ひとりの男”だったことも、ふいに。まだヒモ暮らしをしながら、毎晩あきもせずに盛り場で賭け麻雀に熱中していた頃。世界が四角い布の上だけにあり、人口が4人しかいなかった頃の話。
http://homepage.mac.com/torum_3/love/iMovieTheater552.html
“振り向けば”とだけ記憶していたこのセッションが
中也の「港市の秋」の一節からとったものだということをまったく知らずいた。あかりやさんと大久保のライブで会った日、福島さんの絶叫を聴くまでは、ずっと4回戦ボーイのくだりだけを記憶していた。

  港の市の秋の日は、
  大人しい発狂。
  私はその日人生に、
  椅子を失した

福島さんは、この詩に10代のころに出会ったらしい。
それも、なんだかつらいじゃないか。