コンフィダント・絆★★★★★
WOWOW 作・演出 三谷幸喜
春にパルコで講演した舞台の特別「中継」。通常の舞台中継とは異なり観客をシャットアウトしての「中継」のため、ふだんのライブではあり得ないカメラワークがとられていたのは事実だが、その効果はあまり無かったように思う。むしろ中継にありがちなCUの多用が気になった。テレビ的な方法論として成立してきたCUは、最大の根拠が解像度の甘さの克服にあったのではないか。HDになってしまってからはほぼ100%CUは不要である。オンエアされた三谷の「コンフィダント・絆」は、三谷の根っこがどこにあるかを彷彿とさせるすぐれた芝居だっただけに、CUと必要以上のテレビ的なオーバーラップ、彼が映画的と考える移動の多用が、逆にデフォーカスのような効果になってしまい惜しまれる。とはいえ、舞台を見に行けば良かったと、ひさしぶりに残念な思いも。