十二夜から十四夜まで
追憶の中だけの生々しさなのだと気づきたくはないが、気づいてしまうことは不憫だ。不憫であることを自覚することがうとましい。三日間、秋の月を同じ場所で眺めながら、想った。満ちるはずが指の間から漏れ続けていく。身を切るようなせつなさが、もう遠いものになっていく。別々な時間が加速していく。体の中に確実に感じ続けていた二つの時間が、気がつけばいまは、一つ。だ。