晩鐘★★★★★
乃南アサ著/双葉文庫/上下巻
上下合わせて約1500ページ。
風紋が約1000ページだから、
この一つの事件が巻き起こした複数の家族たちの
7年間の物語は2500ページの大作となっている。
これだけの枚数を費やされてもなお、飢餓は残る。
乃南アサが素材とした世界は、救い難いほど深く濃い闇だ。
救いはがないにも関わらず、読まれるべき物語のひとつではある。

今様“罪と罰”。乃南、大才である。

不用意にジャンル分けされることがなければ
この物語はもっと大きな波動を引き起こしていたはず。