黄昏に歌え★★
なかにし礼著/朝日新聞社刊
週刊朝日に連載した「兄弟」「赤い月」に続く自伝三部作の最終巻。しんどいなと思いながら読み進めた。善くも悪しくも帯の一行につきる。

 「歌は、いかにして詩人の魂に舞い降りるのか?」

それにしても、なんとたくさんの歌が彼の作だったのか、とあらためて。阿部レイさんが昔銀巴里でなかにしの歌を唄っていたことを知る。九段の先輩でもあった。

何度か引用されるシャルルロー・トレネ作の「詩人の魂」の一節を引いておこう。

  いつまでも いつまでも
  詩人たちがいなくなっても
  なお いつまでも
  彼らの作った歌は
  街に流れつづける…
  詩人たちの軽やかな魂
  それこそが彼らの歌だ……