ワイオミングの惨劇★★★★★
トレヴェニアン著/新潮文庫
15年ぶりのトレヴェニアン。
最初から最後まで、なんともトレヴェニアンとしか
いいようのない世界で、寡作であることが悔やまれる。
にしてもだ。つまらねえ邦題に、鼻白む。
原題はIncident at Twenty-Mile
「二十マイル…ワイオミングでは銀鉱ブームの初期に、こういう気まぐれな短命の町名が山のように生まれた。この町は、ブームで沸きかえるディスティニー(運命)の町と山中の高地にある《おどろき銀山》を結ぶ狭軌鉄道の中間に一夜にして現れた。ある者に言わせれば、距離を測る基準点を適当に選んでいた鉄道技師たちが、線路から二十マイルほど登った二エーカーほどの平らな岩棚を発見し、発破で路盤をつくりレールを敷設する際の生活物資中継地にしたところから名付けられたのだそうだ」17ページから抄録