2005 01/18 16:46
Category : 日記
安部龍太郎著/上下巻/新潮社
昨年末まで三年余り小説新潮に連載されていた安部版“義経”。上巻の帯の惹句“民は慕い、天も運もあいつになびく”に魅かれ、読み始める。司馬遼、池宮、宮尾、紀和などの源平盛衰をこの二年で読んだことになるが、熊野盛衰をたて糸にした紀和鏡の構想がもっともなじんだ気がする。安部・義経の焦眉は日本民族屈服のトラウマ説で、その切り込みは半ばまでは活かされ、ところどころ眼を瞠らせられる。が、そこどまりのまま物語は閉じる。安部の小説は、いつも突き抜けきらずにもどかしさを残す。この安部版・義経もまた、同様だった。とはいえ丸一昼夜、寝る間を惜しんで読み通せた。
昨年末まで三年余り小説新潮に連載されていた安部版“義経”。上巻の帯の惹句“民は慕い、天も運もあいつになびく”に魅かれ、読み始める。司馬遼、池宮、宮尾、紀和などの源平盛衰をこの二年で読んだことになるが、熊野盛衰をたて糸にした紀和鏡の構想がもっともなじんだ気がする。安部・義経の焦眉は日本民族屈服のトラウマ説で、その切り込みは半ばまでは活かされ、ところどころ眼を瞠らせられる。が、そこどまりのまま物語は閉じる。安部の小説は、いつも突き抜けきらずにもどかしさを残す。この安部版・義経もまた、同様だった。とはいえ丸一昼夜、寝る間を惜しんで読み通せた。