二つの“やくざ”映画
笠原脚本の《総長賭博》を見たくなりVHSを借りてきた。
テープの状態が悪いせいか、ダビングもののような出来で
なんだかゾンビ映画を観ているようだった。
記憶に残っていた笠原脚本のスゴサはきれいに消失していて
ああいうものは時代の中で感じる他に無いのだとあらためて。
映画としては、やはり不出来だろう。

一緒に借り出した《総長への道》はマキノ雅弘監督で脚本は高田宏治。原作は藤原審爾。
これは映画を観てから原作小説を探して読んだ記憶あり。
原作と映画の雰囲気は違っていてもけっこう面白かった。
あらためて見ると、
とても丁寧にまっとうにつくられていて
ちょっとオドロイタ。

マキノ雅弘は、しかし艶っぽい監督なのだと
しみじみ実感させられる。
大映の悪名シリーズの何本かと同じく
国産フィルムノワールはこの時期が全盛だったのだ。
ダンディさに涙がにじむよ。