記憶と記録3《おわりかた》
6.[エピローグ] 再生

夕。夕空を背に、リニアがすべるように疾走している。
夜。月明かりの下、基地に戻る。
基地内。静かに眠るリニア。照明が消える。暗転。


リニアのヘッドライト、暗やみの中で不意に点灯。
来館者をまっすぐに照らす。
リニアの周囲を濃い霧が包んでいく。
天窓から青い月の光が射し込んでいる。
月光に照らされたリニア、
ゆっくりと息づいているようである。
めざめの瞬間を待ちながら…

場内にプロローグの春の気配がよみがえる。
おだやかでうららかな春の音が、来館者の周囲を満たしていく。

その春の中、
究極の陸上交通システムについての簡潔なメッセージが、
浮かび上がる。
このメッセージは、今ここで夢が現実として
カタチを結ぼうとしていることを
たからかに全世界に向けて、宣言するものとなる。

ただし、そのコトバは
老若を越えて、誰にでも理解でき、
覚えられるような平易なものであること。


ちなみに最後の一行は
linear is real!