その先の桜吹雪を。
山岡組は六本木の編集スタジオ
こちらは砧のクレッシェンド。
夜に合流するが、いよいよ錨を降ろす刻である。

今日、投錨し、
今夜と明日で整えて
明後日と明明後日で船を降りる。

7月の末に読んだ
「われを国賊というか」という
思いがけない弥太郎の切り口上に惚れて
四つの季節が過ぎた。

曇天の花冷えとはいえ
首都は満開の桜で満ちている。
この足で一年ぶりの大地を踏むその刹那
世界は桜花が舞い散っているはずだ。

船乗りではないが
そんなふうに想像してみた。

青い海ばかり眺めて洋上で過ごした歳月の末に
たどり着いた港に桜吹雪が待っている。


つくづく幸せではないか。


二期会がどんなふうに「海の民」を歌ってくれるのか
すでにワタシはひとりの観客である。