人は語る。言葉は軽い。そして熱が逃げる。
別件の世界観4つ、書いて送った。予定より3時間遅れて。ぎりぎり間に合うかどうか。この書き方で良かったのかどうか、検証する時間も校正する時間もなく送る。

しかし前書きだけの仕事というのもはじめての経験。
生きているといろいろあるものだ。

昨夜は、郵船のシナリオは書き直しているうちにタイムオーバー。episode1「日本をひらく」だけで終わった。
すっきりはしたが渾沌が消えた。
一昨日に書いたプロローグをかなり緻密に組み立てたので、勘違いがあったとはいいながら、
解体と再構成に気が抜けたのだと思う。

夏に始めもう冬のさなかとなった。
はじめて温度差を感じた夜になった。
微修正の多さは腰のさだまらなさにつながるのか。
群盲象を撫でる、そんな気配が濃くなってきている。

「 われを国賊というか。政府が果たしてその方針なら、
われもまた所有の汽船を残らず遠州灘に集めて焼き払い、
残りの財産を全部自由党に寄付せん 」

と言い放った弥太郎の熱情はすでに見る影も無い。
保証がどうのという話を聞きながら
山になった原稿の束と資料を焼き払うイメージを
消すことができずにいる。
夏に感じた焦熱が音を立てて失せていくようだ。


人は語る。
言葉は軽い。
熱が逃げる。

巧言令色など死語だと思っていたが。


クルマではやければ20分の横浜が
今日は万里の彼方に煙って見えず。

誰でもできる仕事に落ちていくなら
べつに俺である必然もない。

俺が書き演出するものを
どうやって誰に保証してもらえば良いのか。
不思議の国に迷いこんだ幸福の王子が裸の王様になってしまった。
ま、いいじゃねえか。