2002 04/30 17:59
Category : 日記
「世界の終わり、あるいは始まり」歌野晶午著/角川書店刊
読み進むことがまことに辛い小説である。
共感できることはどこにもない。
にもかかわらず、小説らしい小説。
出版社は販売戦略でミステリーとジャンル分けしているが、
とてもおさまりきれない。
途中で歌野の意図に気づかされてからは
答えのない迷宮にどっぷりとはいりこんだ。
そして読了後も脱け出せなかった。
これは、怖い小説である。
人間が抱え込む「明るい暗部」をめくり続けていくと
どんな貌が現れてくるのかという
あるいは現れることはあるのか、という
できれば避けて通りたい問いかけだけで成立する
地雷のような物語。
エピローグの「パンドラの箱」のエピソードと
父と息子のキャッチボールが
とりあえずの救いとして描かれてはいるが、
これが歌野の本意なのかどうか。
『世界の始まりはカオスだったという。
カオスは混とんとは違う。そもそもは巨大な空間を意味するのであり、
《空》は空虚ということではなく、
あらゆる可能性を秘めた無の状態をいう。
そう、今日のこの、まっさらな青空のようなものだ。
白球が空から落ちてくる。それは私の未来でもある』
読み進むことがまことに辛い小説である。
共感できることはどこにもない。
にもかかわらず、小説らしい小説。
出版社は販売戦略でミステリーとジャンル分けしているが、
とてもおさまりきれない。
途中で歌野の意図に気づかされてからは
答えのない迷宮にどっぷりとはいりこんだ。
そして読了後も脱け出せなかった。
これは、怖い小説である。
人間が抱え込む「明るい暗部」をめくり続けていくと
どんな貌が現れてくるのかという
あるいは現れることはあるのか、という
できれば避けて通りたい問いかけだけで成立する
地雷のような物語。
エピローグの「パンドラの箱」のエピソードと
父と息子のキャッチボールが
とりあえずの救いとして描かれてはいるが、
これが歌野の本意なのかどうか。
『世界の始まりはカオスだったという。
カオスは混とんとは違う。そもそもは巨大な空間を意味するのであり、
《空》は空虚ということではなく、
あらゆる可能性を秘めた無の状態をいう。
そう、今日のこの、まっさらな青空のようなものだ。
白球が空から落ちてくる。それは私の未来でもある』