とほくまでゆくんだ ぼくらの好きな人々よ
窓を開けると、青空。
五月晴れである。

エアコンを切って、タバコを手に近くの公園に。

穀雨をたっぷりと吸ったさつきの緑が
朝の光にきらきら光っていた。

夏の間、毎日お世話になったベンチに腰を下ろし三本のタバコを灰にした。

昨夜おそくというか未明に見た月は、
ほぼ満月だった。

このところ続いていたおかしな陽気が
一気に吹き払われたような空を見上げながら、
いい日にスタートになるな、と納得。

なにからどう書けばいいのかと迷ってもいたが、
朝の空を見ているうちに最初の一行が浮かんだ。


  《その森のひとは、どこに帰ったのか?》


企画書の冒頭一行は、これで決まり。
なんだか、わくわくするぞ。


隠れテーマは吉本さんの《涙が涸れる》の一節から。

  《ぼくらはぼくらに または少女に
   それを視せて とほくまで
   ゆくんだと告げるのである

   とほくまでゆくんだ ぼくらの好きな人々よ》


さて、どこまで行けるか。