《恋人たち》最終回「最後の恋文」を6年ぶりに
野沢尚の《恋人たち》最終回「最後の恋文」を見る。
渡辺が録画しておいたビデオを探しだしてきてくれた。
ラストの三話分があった。
気になっていた最終回90分を見た。

このあいだ《ことの終り》を見てからひっかかってきたことが、
解消できた。
野沢が95年の秋に描いた《恋人たち》の世界は、
はるかに《ことの終り》の先を行っていた。

忘れてしまっていた多くのことがあった。
魂の底に焼きこまれていた多くのこともあった。

それにしても野沢は、何とすさまじい愛を描いたことか。
日本で、しかもCXが、地上波で、これだけの突き詰めた、
突き抜けた世界をよく実現したものだと、いまさらながらだが、称賛したい。

ほんらいならば、これで燃え尽きてもおかしくないが、
その後に《青い鳥》を書くことができた野沢尚の才能には、
ただ脱帽あるのみ。

どうしてビデオリリースできないでいるのか、
想像がつくような気もする。
通夜の席のあのエピソードなのではないか。
突き抜けてしまったあの挿話が、
どこかでストップを強いているのではないか。

これほどピュアなドラマを、見たことがない。

いや、あらためて恐れ入る。
CXは世に出すべきである。
それが表現に携わっているものの義務であり責務。

解体を深める社会と世界に向けた
あるいはもっとも有効な解答のひとつ、
それがここにある。